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Antroquinonol®

抗癌作用、癌細胞アポトーシス(自滅)作用、認知症改善、肝保護作用、腎臓保護作用、コレステロール調整作用(LDL/HDL)

【アントロキノノール】Antroquinonol®

■概要

新しいシクロヘキサンケトン化合物アントロキノノール(Antroquinonol®)は、2006年にGolden Biotech社の研究開発チームによって発見され、新しい成分の低分子構造を持っています。2007年に国際的な学術誌「Planta Medica」において発表されました。Antroquinonolは、六環式化学構造を持つ単一低分子です。Antroquinonolから誕生した新薬抗癌剤Hocena®は、アメリカFDAから膵臓がんの希少疾病用医薬品(OD)の認定を得ています。

 

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Antroquinonol®は液体形状です。Antroquinonolは消化管から体内へ吸収されます。経口投与約30分で、Antroquinonolは皮膚で最高濃度に蓄積されて、脾臓、骨格筋、肝臓、肺臓、大腸、腎臓、心臓、脳にもた達します。 24時間後残存量は全く検出されなくなるまで低下します。経口投与してから平均2.5時間で最高血中濃度に到達し、平均8~10時間でベースラインに戻ります。代謝は尿によって排出され、糞便中に代謝産物は見られません。

Antroquinonolについての研究が広くすすみ、すでに国際的な学術誌に掲載されています。ヒト乳ガン、肝ガン、前立腺ガン、肝臓ガン、白血病、肺ガン、膵臓ガンなどについての報告が示されています。いわゆる科学的な証明として多くの報告があげられています。

Antroquinonolは、抗腫瘍効果、抗炎症効果、免疫調整効果、動脈硬化改善効果などがあげられています。

 

ガンにかかるとその治療法は、

 

①手術
②放射線療法
③化学療法
④ホルモン療法
⑤免疫療法
⑥温熱療法

 

などが行なわれますが、Antroquinonolの使用により高い抗腫瘍効果とアポトーシス誘導などで、ガン細胞を自然死に導いて、正常細胞には傷をつけないという特別な働きが得られます。

Antroquinonolの薬理作用

①抗癌作用機序の概要

研究の結果、Antroquinonolは癌細胞の転移を効果的に抑制し、癌細胞のプログラム細胞死とオートファジーを作動させ、癌細胞を死滅させることができることを発見しました。研究開発チームは、Antroquinonolが癌細胞においてファルネシルトランスフェラーゼ(FTase)阻害剤としての役割を果たし、ファルネシルトランスフェラーゼの活性を阻害して、癌細胞の増殖を主導する重要な情報の上流因子Rasへの伝達を間接的に阻害し、癌細胞を死滅へと導くことを、実験によって明確に証明しました。

細胞の情報伝達経路において、Rasは主に遺伝子転写を制御するキナーゼを活性化させることにより、細胞の増殖と分化を調節します。しかし、Ras遺伝子の点突然変異は、通常、癌細胞の過剰な活性化を引き起こし、細胞が正常に増殖と転移を行えないようにします。多くの悪性腫瘍において、Ras点突然変異の現象が見られます。Rasの活性は、タンパクがスムーズに細胞核から生成されてモザイクを経て細胞膜上に至るかに決定づけられます。その過程では、次のような一連の翻訳後修飾の作用が必要となります。

(1)Rasタンパク質のカルボキシ末端で高度に保たれるCAAXモチーフのシステインにおいて、タンパク質プレニル化が行われる。
(2)タンパク質・酵素が、CAAXモチーフのAAXアミノ酸部分を除去する。
(3)メチル化。
(4)脂肪酸の修飾作用等。

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AntroquinonolによるRas変異の活性阻害、癌細胞の死滅への誘導

Antroquinonolが癌細胞を死滅に誘導するシグナルの伝達経路を研究した結果、AntroquinonolはRasの活性を阻害することによって、その下流の情報伝達因子に影響を与えていることが示唆されました。 PI3Kの発現量の抑制、Aktのリン酸化程度の低減やAMPKの活性化により、TSC1/TSC2の結合がより緊密化するように促すことによって、mTORC1の活性を大幅に低減させ、癌細胞のオートファジー作用機序を働かせます。また、AntroquinonolはMEK1/ERK1/2の経路を活性化させて、癌細胞のオートファジー作用機序を促進します。さらにミトコンドリアを不安定にさせ、Bcl-2、Bcl-XL及びMCI-1のタンパク質量を低下させることによって、癌細胞のプログラム細胞死を発生させます。

Ras遺伝子は、遺伝子転写を制御するキナーゼのシグナル伝達経路に関与して、細胞の成長と分化を調節することができます。この経路を切り開くためにRasは脂肪酸転移酵素が関与した翻訳後修飾作用によって、モザイクから細胞膜に至るまで活性化させることにより、そのシグナル伝達経路を「開」通の状態にして、細胞の成長と増殖を誘導する必要があります。

Rasの過剰な発現と突然変異は、持続的な細胞増殖をもたらします。これは、腫瘍が発生する上で重要です。細胞分裂は、「正」と「負」のシグナルによってバランス良く調節されます。 Ras転写が増加した場合、過度に多量の遺伝子タンパクが細胞内に蓄積します。このとき、細胞分裂の「正」シグナルは「負」のシグナルより強くなります。多くの悪性腫瘍において、Ras点突然変異の現象が発見されましたが、通常は癌細胞の過剰な活性化、細胞の異常な増殖及び転移を引き起こします。

多くのさまざまな癌患者にRasの突然変異が見られます。研究によれば、膵臓癌(90%)、結腸癌(50%)、肺癌(30%)、卵巣癌(15%)、甲状腺癌(50%)、膀胱癌(6%)の患者に、Ras突然変異の類型が見られました。癌以外にも、紅斑性狼瘡(SLE)、乳癌、肝臓癌、皮膚癌、リウマチ様関節炎(RA)、腎臓癌及びいくつかの白血病(Leukemia)でも、突然変異の水準が若干高くなりました。

 

ファルネシルトランスフェラーゼ(FTase)が関与するのは、Ras活性化の第一歩である、タンパク質プレニル化です。Antroquinonolはファルネシルトランスフェラーゼ(FTase)の阻害剤となり、構造の似たファルネシルニリン酸とファルネシルトランスフェラーゼ(FTase)の競合を起こすことによって、Rasの活性を間接的に阻害し、癌細胞の成長と分化を抑制するという目的を達成します。

③AntroquinonolによるRasが正常な癌細胞の抑制

臨床では、AntroquinonolはRasが変異した癌細胞を抑制できるだけでなく、Rasが正常な癌細胞にも抑制効果を発揮します。研究開発チームの実験データから、Antroquinonolの癌細胞に対する細胞毒性効果とRasの癌細胞における発現量は正の相関関係を呈することが明らかです。この結果はまた、臨床上の癌に対するAntroquinonolの広域スペクトル性を示唆しています。

④AntroquinonolによるRas及びGTPase活性の同時阻害

Rasは、FTase (ファルネシルトランスフェラーゼ)の活性によって癌化を生じます。GTPaseとは、Ras遺伝子と構造の似た原癌遺伝子で、GGTaseの活性により癌化を生じます。Antroquinonolは一般的なFTI(ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤)と異なり、FTaseを阻害することによってRasの活性を阻害できるだけでなく、GGTaseを阻害することによって、その他のRas遺伝子GTPaseの活性も阻害することができます。

■癌細胞に対するAntroquinonol の細胞毒性に関する研究

Antroquinonolの細胞株試験は、Antroquinonolが多数の癌細胞(脳腫瘍、リンパ腫、白血病、肺癌、乳癌、肝臓癌、膵臓癌、胃癌、直腸癌、前立腺癌及び膀胱癌等)に対して細胞毒性効果を有すること、そして、正常な組織細胞に対しては全身毒性を有さないことを示唆しています。したがってAntroquinonolは、主力の臨床癌治療薬となることが期待できるのです。

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正常細胞における発現は、下図のとおりAntroquinonolは正常な組織細胞には全身毒性を有しません。

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■論文(癌に関する論文のみ抜粋)

①Antroquinonol® の癌細胞における転移酵素の活性阻害を介したRASシグナル伝達の遮断

5/09/2014

(Cancer Chemotherapy and Pharmacology)

 


要旨

 

目的:Antroquinonol® とは、ベニクスノキタケから分離させたユビキノン様低分子であり、悪性腫瘍に対して 体外及び体内において広域スペクトル活性を有する。本研究では、 Antroquinonol® の癌細胞を死滅に誘導する分子機序を評価することを目的とする。

 

方法:ヒト肺癌(A549及びH838)、肝臓癌(Hep3B及びHepG2)並びに白血病(K562及びTHP1)細胞株に対するAntroquinonol® の細胞毒性作用について論証する。 Antroquinonol® は、Ras処理及びウェスタンブロッティング及び特異的抗体によって検出されたERKがリン酸化した癌細胞に作用する。ゲル内蛍光法による解析は、イソペンテニルRasの水準を決定することを目的とする。 Antroquinonol® とファルネシルトランスフェラーゼ(FTase)間の相互作用は、分子ドッキングのアルゴリズムによって予測するものである。Beclin-1の発現水準、LC3の脂質化及びpuncta形成は、 Antroquinonol® が誘導したオートファジー作用を明らかにするために用いる。

 

結果: Antroquinonol® が異なる癌細胞株に対して細胞死を誘導する際のIC50値は2.22から6.42μMである。 Antroquinonol® は、H838細胞株において用量依存性(P < 0.01)を呈する加工処理されていないRASの割合を顕著に向上させる。このような増強は、ファルネシル二リン酸(FPP)により惹起されたものである。また Antroquinonol® がFtase活性を阻害することを証明した。分子ドッキングを用いて、 Antroquinonol® のイソプレンユニット及び4-ヒドロキシ基が、 Antroquinonol® とファルネシルトランスフェラーゼ(FTase)間の相互作用において果たす可能性のある役割を解析、予測した。また、Antroquinonol® はH838細胞内において、Beclin-1(3-fold)の発現水準、LC3II /I(P < 0.01)及びPC3 puncta形成を増加させた。

 

結論: Antroquinonol® による癌細胞アポトーシスの誘導は、Ftase活性の阻害と細胞オートファジーの誘導によるものだと思われる。

②Antroquinonol® によるPI3K/mTORタンパク質 及びmiRNA発現プロファイルの変化を介した非小細胞肺癌癌細胞増殖の抑制

 

5/09/2014    

 

(Mutation Research 707 (2011)42–52)


Kumar VB, Yuan TC, Liou JW, Yang CJ, Sung PJ, Weng CF. Source Department of Life Science, National Dong Hwa University, Hualien, Taiwan. 

 


要旨

 

Antroquinonol® ベニクスノキタケの誘導体が、異なる癌細胞に対する細胞毒性作用を有することは、研究によって既に証明されている。しかしながら、  Antroquinonol® の細胞シグナルの伝達及び生存経路による非小細胞肺癌(NSCLC)癌細胞に対する影響はまだ完全に解明されていない。ここで私たちは、  Antroquinonol® での治療によって、NSCLC細胞の増殖が顕著に低下したことを発見した。 Antroquinonol® は、A549細胞の収縮、細胞内空胞及び細胞間隙の 形成を増加させることができ、かつ、TUNEL陽性細胞とsub-G1期細胞数の時間依存性及び用量依存性のある増加を示唆している。  Antroquinonol® 処理は、sub-G1期細胞の蓄積を増加させるだけでなく、Cdc2、Cdc25C、PDCD2及びpcdc25cタンパク質の発現水準を低下させ、サイクリンB1を変化させない。  Antroquinonol® によるアポトーシスの誘導、細胞のミトコンドリア膜電位の破壊、caspase3及びPARPの開裂の作動は、A549において関連がある。また 、Antroquinonol®  処理下のBcl-2タンパク質の発現は、PI3K及びmTORタンパク質の水準を抑制し、アポトーシス促進性タンパク質及び抗アポトーシスタンパク質を変化させない。 マイクロアレイ解析の結果から、未処理の対照群と比較した場合、A549細胞において、 Antroquinonol® がmiRNAsの発現水準を変化させることが判明した。またデータとともに、肺癌A549細胞の増殖が、 Antroquinonol® から明らかに影響を受けることが分かった。これらは、 Antroquinonol® の抗癌作用機序を理解するうえで有用な情報やアドバイスを提供しており、 Antroquinonol® は非常に有望な肺癌治療薬となる可能性があると考える。

③ヒト肝癌細胞におけるAMPK及びmTOR経路に対するAntroquinonol® の重要な働き

 

5/09/2014    

 

(Biochemical Pharmacology 79 (2010) 162–171)

 

Pharmacological Institute, College of Medicine, National Taiwan University, Taipei, Taiwan Golden Biotechnology Corporation, Taipei Veterans General Hospital, Department of Radiology, Taipei, Division of Medicinal Chemistry, College of Pharmacy, The Ohio State University, Columbus, OH, USA 

 


要旨

 

活性化プロテインキナーゼ(AMPK)と哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)は、それぞれ細胞のエネルギーのバランス維持と転写制御を担う二つのセリン/トレオニンキナーゼである。エビデンスから、肝細胞癌の非常に重要な治療目標とは、まさにこの二つのキナーゼであることが明らかである。 Antroquinonol® はベニクスノキタケから抽出したものであり、ベニクスノキタケは中国の伝統医学において肝臓疾患の治療に幅広く用いられてきた植物である。同植物は、HBV-DNAが陽性と陰性である二つの肝癌細胞株に対して、いずれも有効な抗癌活性を有している。HCCsに対する効力の強さは、HepG2 > HepG2.2.15 > Mahlavu > PLC/PRF/5 > SK-Hep1 > Hep3Bである。 Antroquinonol® は細胞周期の進行を完全に阻止するとともに、二重チミジンブロック及び放出法によって、その後のアポトーシスを惹起する。またデータから、サイクリンD1、サイクリンE、Cdk4及びCdk2といったG1期を制御するタンパク質を減少させることが分かった。さらなる解析によって、 Antroquinonol® はG1期を制御するタンパク質のmRNA発現を変化させることなく、転写でなく、阻害する役割のみを果たすことが判明した。 Antroquinonol® は、mTOR(Ser2448)、p70S6K(Thr421/Ser424及びThr389)並びに4E-BP1(Thr37/Thr46及びThr70)を含むタンパク質のリン酸化を阻害することによってTSC1/TSC2の遺伝子を誘導し、その細胞タンパク質の合成を阻害する。また Antroquinonol® は、AMPKの活性を亢進することもできる。化合物C、選択的AMPK酵素阻害剤は、AMPKに対する Antroquinonol® の阻害影響において非常に重要な役割を果たす。このほか、 Antroquinonol® は、ミトコンドリア膜電位やミトコンドリアの含有量を低減させて、抗炎作用を実現することができる。データから、 Antroquinonol® はAMPK及びmTOR経路において、肝臓癌にとって重要な役割を果たし、主にG1期における細胞周期の停滞とその後のアポトーシスを惹起することが明らかになった。

④ヒト膵臓癌細胞における Antroquinonol® による癌細胞オートファジーの作動及び癌細胞プログラム細胞死の誘導

5/09/2014    

 

(Journal of Nutritional Biochemistry 23 (2012) 900–907)

 

Chia-Chun Yua, Po-Cheng Chianga, Pin-Hsuan Lua, Mao-Tien Kuob, Wu-Che Wenb, Peini Chenc,Jih-Hwa Guha, ,
a. School of Pharmacy, National Taiwan University, Taipei 100, Taiwan
b. Golden Biotechnology Corporation, Taipei, Taiwan
c. Department of Radiology, Taipei Veterans General Hospital, Taipei, Taiwan

 


要旨

 

膵臓癌とは悪性膵臓腫瘍の一種である。90%以上の膵臓癌は、K-ras遺伝子に突然変異及び活性が生じる。膵臓癌の治療方法を見つけることは、現在最も喫緊の課題となっている。Antroquinonol® はベニクスノキタケから抽出したものであり、膵臓癌PANC-1及びASPC-1細胞の増殖を抑制し、その細胞濃度を低下させる。プロピジウムイオダイド染色したDNAを自動細胞解析分離装置で解析したところ、 Antroquinonol® は細胞周期のG1期の停滞とその後のアポトーシスを誘導することが判明した。 Antroquinonol® は、セリン(473)のリン酸化部位において、Aktのリン酸化を阻害する。これは、Aktのキナーゼ活性にとって重要である。さらに、セリンのリン酸化部位(2448)において哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)のリン酸化を阻害する。mTORの活性はこのアミノアシル部分に依存している。また、Antroquinonol® は、mTOR/p70S6K/4E-BP1シグナルの伝達経路における若干数のシグナルのルートに影響を与える。このほか、 Antroquinonol® は、複数種類の細胞周期制御因子とミトコンドリアの抗アポトーシスタンパク質の低下を誘導する。これと相反して、K-rasとそのリン酸化の発現は顕著に増加する。免疫沈降法の実験結果から、そのK-ras遺伝子とBcl-xLの顕著な増強は明らかであり、これはアポトーシスを表している。 Antroquinonol® は癌細胞のアポトーシスを誘導して、癌細胞のオートファジー性細胞死と癌細胞の老化を加速させる。ここでは、上方制御したp21(WAF1/CIP1)とK-ras遺伝子間のクロストークを表している。データから、 Antroquinonol® はPI3K/ Akt / mTORのシグナル経路を阻害することによって、膵臓癌細胞の活性を阻害すると結論づけた。阻害が細胞周期G1期の停滞を惹起し、最終的にはミトコンドリアの依存性細胞死を引き起こす。また、癌細胞のオートファジー性細胞死と癌細胞の老化加速も、 Antroquinonol® が抗癌作用を有することを示唆している。

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